刑務所介護士とは?仕事内容や応募方法、注意点を紹介
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少子高齢化が進み、高齢者が増加するにつれて介護職の需要も増加しています。
介護職の需要が高まるなかで「空港介護士」や「刑務所介護士」といった聞きなれない職種の求人を見かけるようになりました。
今回は「刑務所介護士」に焦点を当てて、一般的な介護職との違いや注意点などを紹介します。
刑務所介護士とは?
日本の刑務所は今「受刑者の高齢化」により、受刑者の介護の必要性が増加しているのが現状です。
では刑務所における介護の必要性は具体的にどのようなものか、刑務所における介護職の仕事内容とともに紹介します。
◆刑務所も高齢化がすすんでいる
刑務所でも受刑者の高齢化に伴い、受刑者の介護やリハビリが必要になる場面が増えているため、介護ができる職員の採用が増えているのです。
実際に日本人受刑者の平均年齢が52歳の府中刑務所では、体力や認知機能の低下した高齢受刑者の増加を受けて、2020年度から介護福祉士や作業療法士の職員を採用しています。
法務省の矯正統計によると、2022年に新たに収容された受刑者は1万4460人で、約20年前の03年から半分以下となりました。
一方で65歳以上は14%の2025人で、03年の4.3%から3倍以上に増えており、全国的に受刑者も高齢化が進んでいることが分かります。
参考1 <府中刑務所ルポ>老人ホーム化する塀の中 作業実態はリハビリ、出所後戻りたがって無銭飲食繰り返す者も…:東京新聞 TOKYO Web
参考2 矯正統計調査 矯正統計 年次 2022年 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
◆刑務所介護士が働く刑務所の種類
刑務所介護職が働く刑務所は、「一般刑務所(刑事施設)」と「医療刑務所」の2つです。
一般刑務所とは刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院などを指し、施設内の「医務部診療所」勤務となり、介護が必要な人へケアを行います。
医療刑務所は全国4ヶ所に存在し、一般の刑務所では収容できない、専門的な医療行為を必要とする受刑者を収容し治療を行う刑務所となり、主に病院における介護職とほとんど同じ業務が担当です。
◆介護施設勤務との違い
医療刑務所における刑務所看護師の主な仕事は医師の診療・手術補助や検査の介助、注射や点滴などになります。
治療途中の受刑者が出所する際や、医療刑務所で対応できない医療行為が必要な場合の転院手続きも担当業務です。
一般的な病院に勤務する看護師と刑務所看護師の違いは、「矯正医療」に携わるか否かとなります。
矯正医療とは、刑務所や少年院などに収容されている受刑者に対する保健衛生および医療提供のことです。
◆刑務所の認知症対策の取り組みも
一般社会で暮らしている人よりも、刑務所における受刑者は認知症が発覚しにくいといわれています。
仕事や買い物といった日常生活の中であれば「物忘れが激しくなった」「やり慣れたことの手順がわからなくなった」など、本人や周囲が認知症の兆候に気付きやすいですが、受刑者の場合は職員の指導と規則に従う生活のため、認知症かそうでないかを周囲が見分けづらいことから、認知症が発症したかが分かりにくいのです。
そのため、高齢者の多い刑務所では介護福祉士を呼んで座りながらの体操や簡単な計算問題などの取り組みを通して認知症対策を行っています。
刑務所介護士になる方法
一般的な介護職とはやや異なる刑務所介護士ですが、刑務所介護士の仕事に就くにはどのような方法があるのでしょうか。
次項では、刑務所介護士になる方法を紹介します。
◆一般の介護職同様に資格が必要
介護行為を行うため、刑務所介護士も一般的な介護職と同様に介護資格が必要です。
介護関連の研修や資格は数多くありますが、介護職を目指す上で押さえておきたいのは「介護職員初任者研修」「介護福祉士実務者研修」「介護福祉士」の3つが挙げられます。
◆介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、2013年に廃止された「ホームヘルパー2級」に代わる資格として設けられた研修です。
介護職員初任者研修は過去の経験やその他の資格の有無に関わらず受講できるため、これから介護の仕事をしようと考えている方や介護業務に就き始めた方におすすめの研修となります。
◆介護福祉士実務者研修
介護職員初任者研修の上級資格といわれており、研修内容は介護の基礎知識のほか、たんの吸引や経管栄養といった医療的ケアの内容も含まれるのが特徴です。
無資格、無経験から受講でき、研修範囲が広く受講時間も多いことから介護職員初任者研修よりも専門知識が得られる研修となります。
介護福祉士実務者研修は、今後介護福祉士の試験を受ける際に受講が必要になるため、介護福祉士になりたいと考えている人は受けておきたい研修といえるでしょう。
◆介護福祉士
介護福祉士は介護関連の資格のなかで唯一の国家資格で、国家試験の受験資格を得るためには、3年以上の実務経験と介護福祉士実務者研修の修了が必要です。
介護福祉士の資格を取得すると、介護について十分な知識や技術、経験が備わった人材と見なされ、介護を必要とする方にとって適切な介護サービスを提供するだけではなく、介護職員の指導や育成も行えるようになります。
一度取得すれば更新の必要がないため、生涯通して全国で通用する資格と言えるでしょう。
◆刑務所介護士求人の探し方
刑務所の職員である刑務官になるには刑務官採用試験を受ける必要がありますが、刑務所介護士はハローワークで求人が出されている場合があります。
医療刑務所のある地域を対象に、ハローワークのインターネットサービスを利用すると見つかるかもしれません。
刑務所介護士に応募する上での注意点
刑務所介護士は国の管轄である刑務所内での勤務であることから、 形式上国家公務員となるため、一般的な介護職とは待遇面で差異があります。
ではどの点がことなるのか、刑務所介護士の求人に応募する際の注意点と併せてみていきましょう。
◆地域によって給与は異なる
刑務所は全国各地にあり地域によって物価や賃金は異なるため、刑務所看護師の給与にも差が出ることがあります。
刑務所がある地域によっては刑務所看護師の平均給与が20万円程度という場所もあるため、国家公務員だからどの刑務所でも同じ給与ではないのです。
国家公務員として働く場合、病院勤務の看護師と比べると「給与での手当が多い」「交通費の全額支給」「地方手当の存在」など、給与面で多くのメリットがあるでしょう。
◆受刑者を相手に介護を行う
刑務所看護師として働く場合、患者さんは全員が受刑者のため、一般の診療所の患者とはコミュニケーションの取り方が大きく異なります。
看護師が受刑者に普通に直接話しかけることや会話を促すことができず、患者への質問はすべて刑務官立ち合いの元で行う必要があるため、患者と話すことが好きな看護師にとっては、会話を楽しみにくい職場で、デメリットに感じる場合もあるでしょう。
◆刑務所はそもそも交通の便があまり良くない
一般刑務所や刑事施設は、駅から遠いところに建てられるのが一般的です。
そのため電車通勤は難しく、勤務する看護師はマイカー通勤になることが多いことから、車の運転が好きでない人は不便を感じるかもしれません。
刑務所介護士の求人は詐欺で危険!?
あまり聞きなれない「刑務所介護士」ですが、SNSやWebサイト上で見かける広告で刑務所介護士の募集があった場合、もしかしたら詐欺求人かもしれません。
ここからは、もし刑務所介護士の詐欺求人に応募してしまったらどうなるか、詐欺求人かを見分ける方法を踏まえて紹介します。
◆資格取得のための受験料を請求されるケース
刑務所介護士の資格や採用試験が必要な仕事を紹介し、その資格や試験のためのトレーニングコースを受講するよう求められるケースが考えられます。
応募者に資格取得関連のトレーニングや試験料などの支払いを求められますが、刑務所介護士に就ける保証はありません。
◆高額な受講料を請求されるケース
「刑務所介護士になるために必要」との謳い文句で研修を受けさせられ、高額の受講料を取られるケースが考えられます。
介護福祉士になるのに必要な研修とは異なる可能性が高く、刑務所介護士どころか一般的な介護職になれるかも怪しいでしょう。
◆刑務所介護士になるために紹介料を請求されるケース
刑務所介護士の仕事を紹介する名目で高額な紹介料を請求されるパターンも、詐欺求人の1つです。
国家公務員でもある刑務所介護士の仕事に紹介からなれるとは考えにくく、一般的な介護職を紹介されるかもしれません。
◆刑務所介護士以外の仕事を紹介されるケース
刑務所介護士どころか、まったく別の仕事を紹介される場合があります。
一概に違法行為であると言い切れませんが、求人票との内容が大きく異なる場合は最寄りの労働基準監督署に連絡しましょう。
◆詐欺求人を見分ける方法
刑務所介護士に限らず、詐欺求人には以下のような傾向がみられます。
・給与がありえないほど高い、勤務時間が短いなど条件が良すぎる
・仕事内容や応募条件が曖昧
・面接無しですぐに内定が出る
応募後の対応や提示内容に何かしら違和感を感じたら、詐欺求人を疑いましょう。
まとめ
聞きなれない職種である刑務所介護士ですが、ちゃんと存在する職種です。
しかし刑務所内での仕事となるため、一般的な介護職と同じようなルートでは就けない仕事になります。
もしSNSやWeb広告で刑務所介護士の求人を見つけても、この記事を参考に応募しないようにしましょう。
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